「バカヤロー!」が口癖でも、心は優しいお客さまもいる

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合鍵を勝手に作った不動産屋を、大家さんが怒鳴ってくれた

   お客さまの中には怒鳴るけど、ちゃんとお金を作って一生懸命支払いをしようと努力している、いいお客さまもたくさんいます。「口が悪いから悪い人」というわけではなく、口癖以外は普通の優しい人だったりするのです。

   それにこういったお客さまは、他の担当者が敬遠していたりするので実は狙い目。積極的に電話をかければ競争せずに回収することができる、お得なお客さまなのです。

   私のアパートの大家さんも口が悪いせいで入居者が長続きしないのか、アパートの賃料はどんどん値下がりし、おかげで私は相場よりかなり安い家賃で暮らすことができています。

   また、入居したての頃、不動産屋に合い鍵を作られて部屋に入られてしまったことがあったのですが、その時、大家さんが不動産屋さんを叱りつけてくれて、迫力のある口癖も相まって、ものすごく頼りがいがありました。これが優しいだけの大家さんだったら、なあなあで済まされて「また入られるんじゃないか…」という不安が残ったかもしれません。

   怒鳴る人、口が悪い人と出会うと「怖い!」「この人と話したくない!」と反射的に距離を取ってしまいがちですが、身構えず一歩踏み込んで話してみると、実はいい人だと気づくこともあります。

   こういった事は、怒鳴られることの多い督促という仕事をしてなかったら、たぶん一生気がつきませんでした。ホントに督促っていろんな経験をさせてくれる、いい仕事だなぁ…、と改めて思います。(N本=えぬもと)

債権回収OL・N本(えぬもと)
某金融機関で債権回収部門に所属する20代OL。コールセンターで支払延滞顧客への督促を担当している。入社半年で3億円の回収を達成して頭角を現し、10万件の顧客を担当する精鋭チームに最年少で配属された実績を持つ。他人に強く言えない気弱な性格を逆手にとり、独自の「交渉メソッド」を開発。300人のオペレーターを指導しながら、年間2000億円の債権回収に奮闘している。好きなものは、ビールとスイカ。ブログ「督促(トクソク)OLの回収4コマブログ」。(本コラムは当事者のプライバシー保護のため、一部事実と変えている点があります。)
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