運営者「旅行気分で仕事の旅に出てほしい」
小泉さんのお手本の後、豆をマシンへセットしてコーヒーを抽出する。香ばしい匂いが目の前でふわっと漂った。続いてラテアート体験。エスプレッソのカップを傾け、泡立てた温かいミルクをやさしく注ぎいれる。ハートマークは失敗して小さくなってしまったが、ラテの香りは高く、深い味わいには変わりない。
このほか、接客業務から道具のメンテナンスまで、一連の業務を教えてもらえる。体験に来るのは「20代から30代のコーヒー好きな社会人」。趣味で毎日おいしいコーヒーを飲みたい人もいれば、いつか小泉さんのように開業したくて話を聞きに来る人もいる。
普段とは違う場所で違う仕事を教わることで、まるで知らない土地に旅をしたような気分になる。仕事旅行社を企画・運営する田中翼さんは、「仕事には刺激と魅力が満ちあふれている」という。
「世の中には、本当に面白い仕事がたくさんある。そんな体験を旅するような手軽さで、みんなでシェアできればいいなと思い、この会社を作りました」
最近人気のコースは、お花屋さんや眼鏡職人、占い師など。1日の体験で習得できる技術は多くないが、「子どものころにやってみたかった憧れの仕事」を一度体験してみることで、モヤモヤを晴らす効果もありそうだ。
自分の知らないところで、知らない仕事をしている人がいることを知るだけでも、世の中が広く豊かになった気がする。もしいまの仕事にマンネリを感じているなら、プロフェッショナルの仕事を体験する機会を作ってみてはどうだろうか。(池田園子)