社会保険労務士・野崎大輔の視点
人事との連携がトラブルを未然に防止する
部下の不調を見過ごしたり、不調と分かっていながら業務量などを配慮しなかったり、逆にストレスを与えて退職に追い込む管理職もいる中で、この支店長は優しく良心的だと思います。ただし専門家でもない人の行動としてはやりすぎですし、その優しさにつけこんで休職制度を悪用する人が出れば会社の損害にもなります。トラブル防止のためにも会社として一定の対処ルールを決めておいた方がいいでしょう。
初期段階では、(1)体調不良の社員は支店長に相談する、(2)支店長は人事に相談内容をきちんと報告する、(3)人事から本人へ連絡し状況を確認する、という流れにすべきです。休職や退職勧奨について支店長だけが判断するのは、行き違いの原因にもなりますし、現場の雰囲気に飲まれて部下が不調を正しく申告できない場合もあります。社内トラブルは初期段階での対応のまずさによるところが多いので、支店長の心遣いは評価しつつ、ルールを守ってもらうようにしましょう。