社員に「PC用メガネ」を無料支給 システム開発のアイル

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   福利厚生というのは難しい。会社が費用をかけてもメリットを受ける人が少なければ、かえって不公平感を高めてしまう。しかも社員の価値観は多様化しており、ひとつのメニューで多くの人を満足させるのは難しい。

   システム開発のアイルでは、約300人の社員すべてが日常的にパソコンを使っており、目の疲れを訴える人が少なくない。そこで最近流行の「PC用メガネ」の無料支給を始めたところ、多くの社員から満足の声があがったという。

社員の「職業病」に会社の福利厚生として対応

PCメガネをかけて打ち合わせをするアイルの社員
PCメガネをかけて打ち合わせをするアイルの社員

   アイルが社内で無料配布しているのは、パソコンが発する「ブルーライト」を約50%カットできるメガネ。レンズには、ほんのり薄い茶色がついている。東京社屋に勤務する社員150人のうち、すでに100人以上に支給している。

   まだ申請していない人の中には「クリアレンズ」や「度付きレンズ」での支給を希望する人もおり、支給率は最終的にかなり高くなるものと思われる。

「これまでも多くの社員が眼精疲労に悩んでいましたが、『職業病だから仕方がない』と諦めていました。しかし、社員から『PCメガネを使ってみたら目が疲れにくくなった』という声があがったことから、会社として採用を検討しようということになったのです」(広報・菅原朱里さん)

   支給率が予想以上に高くなった理由には、眼精疲労に悩む社員が多かったことに加え、PCメガネのデザインの豊富さもあったようだ。アイルが採用しているのは「JINS PC」というシリーズ。スクエア、ウェリントン、メタルスクエアの3種類の形があり、カラーバリエーションを含めると28のタイプから選ぶことができる。

「もしも選択肢が少なかったら、社員みんなが同じようなメガネをかけることになってしまい、ちょっと気味が悪いですよね(笑)。これだけバラエティに富んだ中から選べるからこそ、福利厚生にも対応できたのかもしれません」

   今のところブラックやネイビー、ダークブラウンなど地味な色が人気だが、中には思い切って鮮やかな原色を選ぶ人もいて、個性が出て面白いそうだ。

営業や総務からも支給希望

   パソコンのLEDディスプレイから発せられるブルーライトは、目の疲れをもたらしたり、体内時計を狂わせるなどの影響があると言われている。

   アイルでは、中小企業をクライアントとしたシステム開発やウェブ開発を行っており、このような症状に悩む人が少なくなかったようだ。あるシステムエンジニアは、

「夕方になると目の疲れを感じていましたが、PC用メガネをかけることで、夜になっても疲れを感じないようになった」

と喜んでいる。JINSがイタリアの大手レンズメーカーと共同開発したという高性能レンズの効果は、十分に感じられているようだ。

   顧客サポート部門の女性も「一日中パソコンに向かっているので助かる。社員の働く環境を考え、会社がこういう制度を作るのはありがたい」と話していた。

   このほか、営業部門や総務部門などからも支給希望があり、結果的に多くの社員をカバーすることになりそうだ。システム開発部門以外でも、業務にパソコンを使うのだから当然だろう。

   社員のリフレッシュのために保養所の整備などに多額の費用をかける会社もあるが、足元の「労働環境」を整えるための福利厚生は、いまいちど見直されてもよいのではないだろうか。(池田園子

姉妹サイト