臨床心理士・尾崎健一の視点
上限金額を下げ、業績向上への発奮材料とする
現状の制度に対する満足度が高いということですので、これを変えるリスクはありそうです。そもそも「内勤との福利厚生のバランスをとる」ことが制度の趣旨であるので、いきすぎた経費削減はこれに反します。また、1200円という金額には、営業の外勤手当てという意味合いもあるかもしれません。制度の現状を維持し、あまり締め付けず自由に使えるようにしておくのも手です。
ただ、趣旨を踏まえた大枠のガイドラインを設けた方がいいと思います。無駄な費用を抑制することができますし、営業マンたちの間で「俺は立ち食いソバなのに、なんであいつはタバコやアニメの下敷き買ってるんだ!」といった不公平感を生まない効果もあります。どうしても経費削減が必要ならば、思い切って上限金額を抑制した方が効果があり、運用上も楽です。「業績が回復したら元に戻す」と告知すれば、モチベーション向上にもつながるのではないでしょうか。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。