グーグルが2012年7月10日に発表した「新サービス」が、ネット上で物議を醸している。サービスの名称は「グーグルマップ・コーディネート(Google Maps Coordinate)」。オフィス外にいる社員を、管理者がグーグルマップ上で確認できる「会社員監視アプリ」だ。
米国では6月21日に先行発表されていた。ネット上には、管理強化につながると反発する声がある一方で、「もう発信機付きの首輪でもいいんじゃね」と会社の管理から逃れることを諦める書き込みも見られる。
「こんなのできたらサボれないじゃないか」
社員は、自らのアンドロイド・スマートフォンに「グーグルマップ・コーディネート」をインストールして外出する。すると社内の管理者は、PCブラウザ上のグーグルマップで、部下の現在位置や移動履歴を確認することができる。
移動中の社員は青、手の空いている社員は緑といったステータスも表示されるので、管理者が遠隔地の社員に指示を出すこともできる。拠点ごとに業務内容や実績などのデータをひもづけして登録することもできる。
指示された場所に到着した社員が「チェックイン」を行うと、移動時間も把握できる。グーグルはこのサービスによって、「オフィスにいる社員と外にいる社員とのコラボレーションを実現する」と説明している。
これまで難しかった「遠隔地の社員の行動管理」ができる環境が整いつつあるといえるだろう。企業からすれば管理コストの削減や、カラ出張などの不正防止につながる。
一方、社員からすれば、自分の行動を始終監視されることになり、息苦しさが増す。
「SFみたいな管理社会到来が怖い」
といったプライバシー侵害を危惧する声や、「社畜管理システム」「こんなのできたらサボれないじゃないか」と抵抗感を抱く声もある。
ただ、このような技術は、社員の監視以外にも使い道がある。たとえばタクシー会社が自社の車の位置を特定し、客から最寄りのタクシーに指示を出し配車することもできる。従来の無線でのアナログなやり取りは不要になる。配送会社の効率的な集荷・配達管理にも活用できそうだ。(岡 徳之)