週刊SPA!の2012.7.17号に、「『40代会社員の劣化メカニズム』を完全解明」という特集が組まれていた。そこでは「バブル入社組の能天気さ」が、現在の40代の劣化を生んでいるとまとめられている。
社内では「無能なクセに手柄だけは独占」し、アフター6に酒が入ると「自慢、口説き、細かすぎる割り勘」と劣化はさらに暴走。冠婚葬祭や慰安旅行、ホームパーティでも周囲に大迷惑を振りまく「ポンコツぶり」が描かれている。
「バブル世代よりひどくなる」指摘する識者も
「管理能力に乏しい」「自分のことしか考えていない」「仕事のクオリティが低すぎる」といった40代会社員の「ポンコツ化」について、人材コンサルタントの田中和彦氏と常見陽平氏は、
「『俺はこの辺でいいや』の諦め感」
「社会的責任感の高ストレス環境」
「社会環境に即した働き方に対応不能な旧時代感覚」
といった要因をあげている。
こういった問題点は下の世代から厳しく断罪され、軽蔑の対象となっている。22~32歳を対象にしたアンケートでも、「自分はポンコツ40代にならない自信がある」と答えた人は88%にのぼるという。
しかし、若手の激しい突き上げに対し、精神科医の和田秀樹氏は冷ややかに反論する。
「その自信はいったいどこから来るのか。彼ら(現在の20~30代)が40代になったとき、もっとひどいポンコツ社員になっている危険性はかなり高いといえるでしょう」
和田氏の分析によれば、彼らが必ず「ポンコツ化」する理由は2つある。ひとつは、誰もが避けられない生物的学要因だ。どんな人でも40代になると前頭葉の劣化は避けられず、男性ホルモンなども減少するので、やる気が失われやすくなる。
もうひとつは、「横並びのゆとり教育のせいでクリエイティビティに乏しい」という、今どきの若者特有の要因である。
いつか自分も「老害」と批判される側に回る
和田氏は、特に今の20代は、
「パソコンやケータイの普及で漢字が書けないうえ、『漫画が教科書』などと平気で言う」
「確かに就職では苦労したかもしれないが、半面、受験や学生生活では少子化の恩恵を受けていたはず」
なので、「今すぐ勉強しろ!」とゲキを飛ばしている。すべての若者たちに当てはまるかどうかは分からないが、一部にはそういう傾向があるかもしれない。
ネット上には、40代以上の世代を「老害」と批判する書き込みがよく見られる。しかし、批判をしている30代も、あと10年も経てば下から突き上げられる世代になる。
いまの10代、20代は、内需の縮小を前提に、英語を使いこなして海外で稼ぐのが当然という考えが多くを占めるかもしれない。そのときに、
「ゆとり世代のセンパイたちは、時代や環境のせいばかりにしていますが、英語もしゃべれなきゃ仕事なんかあるわけないでしょう」
などと批判されてはたまらない。どの世代であっても、他の世代を批判して憂さを晴らしている場合ではなく、変化に適応できるよう先を見て努力し続けなければならない時代になったのではないか。