臨床心理士・尾崎健一の視点
割れ窓理論で「だらしなさ」を根絶すると無駄も減る
消耗品の持ち出しや怪しい発注は、悪意をもって行われている場合よりも、往々にして「だらしない」使い方をしている場合が多いのではないでしょうか。「割れ窓理論」という言葉がありますが、建物の窓ガラスが割れたままにされている地域では、凶悪犯罪が増えるという考え方のことです。小さな私的利用を放置しておくと「このくらいはいいだろう」という気持ちが芽生え、それを放置しておくとさらに大きな横領につながることもあるわけです。金額も「ちりも積もれば山」となります。問題行為は厳しく注意し、時には処分すべきです。
その予防には「労働環境の整理整頓」が基本になります。乱雑なオフィスと、整理整頓されているオフィスでは、消耗品の管理状況や「このくらいはいいだろう」という心理状況にも違いが出てきます。「使ったものは元に戻す」「ゴミはゴミ箱に捨てる」「帰宅時の机の上にはできるだけモノを置かない」などの習慣が、仕事の効率を上げるとともに、消耗品の無駄遣いを防ぐことにもつながります。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。