たかがボールペンくらいで「横領」とは大げさですか!?

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   会社の費用で購入した事務用品は会社の資産であり、私用で使ってはいけないのが原則だ。しかし、使っているうちに、いつの間にか自分のモノのようにしてしまうことがある。また、自分でお金を出していないために無駄に使ってしまいがちである。

   ある会社では、文具などを購入するための消耗品費が膨らんでいることを不審に思って調べてみたところ、おかしな使い方をしているケースがゴロゴロ出てきたという。

会社のカネでドリンクやスナック注文する人も

――広告代理店の総務です。遅まきながら経費削減に取り組んでおり、いろんな無駄を見直しているのですが、いま問題視されているのが「消耗品費」です。

   原因を調査する中で、おかしな動きが見えてきました。ひとつは、ボールペンやノートを非常に多く持ち出す特定の営業マンがいることです。

   会議や外出のたびに新しい在庫を取りに行くので、営業部の消費量が多くなっています。そこで営業部長に状況を報告したところ、部員のA君から電話が入りました。

「あのー、さっき部長から『お前、会社が買ったモノ、家にたくさん持ち帰ってるだろ。それって横領、泥棒だからな!』ってすごく怒られたですけど。なんか総務から言ったんですか。それって言い過ぎじゃないですか?」

   パワハラを訴えるような調子で、ことの重大さを理解せず、反省もしていない様子です。

   もうひとつおかしいのは、消耗品の補充状況です。実は数年前までは総務でまとめて購入し、申請に応じて各部署に渡していました。しかし、いまでは各部署が補充の速い通販サイトで注文し、月末に総務に請求が来るようになっています。

   この内容をいま一度調べたところ、部署によっては通販サイトでドリンクやスナックを注文し、一部の人たちで飲み食いしているようです。手をつけるのも億劫な状況ですが、こういうときはどういう視点で改善したらいいのでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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