政界のジョブホッパー、小沢一郎

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   昨日(2012年7月11日)、いよいよ小沢さんが新党を立ち上げた。新党名は「国民の生活が第一」で、増税反対、TPP反対等、与党側の政策への反対が柱となるそうだ。自民党、新生党、新進党、自由党、民主党ときて、実に5度目の転職ならぬ転党である。

   まあ別に好きにしてもらっていいのだが、ひとつ気になるのは、彼らの政策が反対ばかりで、具体的な中身がぜんぜん見えてこないことだ。

解決策もビジョンも持たず、組織を飛び出す

   たとえば、増税に反対するのなら、それに代わる歳出削減手段を明示するのが基本だろう。「増税よりも経済成長が重要」とか「行政の無駄を見直すべき」というのは当たり前の精神論で、本当にそれで増税の必要がないというのなら、実現可能かつ具体的な中身を有権者に掲げるべきだ。

   そういうことを一切やらずに「増税反対がうけるから」という理由だけで反対するのなら、いますぐ議員なんぞ辞職してお笑い芸人でも目指すといい。

   ふと気付いたのだが、彼の動きは、キャリアデザインの下手なジョブホッパーによく似ている。ジョブホッパーというのは、勤続3年未満での短期の転職を繰りかえす転職常習者のことだ。

   自分の置かれた課題に対し、解決策もビジョンも持たぬまま組織を飛び出すという点で、小沢一郎という政治家とそっくりだ。誰でもきっと周囲に一人くらい、心当たりのある人がいるのではないか。

   筆者の同期にも、最初に入った大手製造業を「こんな古い会社は辞めてやる」と言って2年で辞めて、なぜかもっと社風の古い財閥系メーカーに転職し、やっぱり1年くらいで辞めてよく分からないIT系の新興企業に転職、そこもすぐ辞めて音信不通という人間がいるが、小沢センセイを見ていると彼が偲ばれてしかたがない。

   ジョブホッパーの場合、学歴や「最初に入った会社名」というボーナスがドンとあって、それを食いつぶしつつホップしていくわけだが、だいたい短期間で3回も転職するとジョブホッパーとしての烙印を押され、信用を失うことになる。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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