「私は取材を一切、断らない! 記者が来ないだけだ」――。そんな強気な発言で話題となった住友ベークライトの林茂社長に、J-CASTニュースが取材を申し込んだ。ところが広報担当者は、
「いまは新聞(一般紙)と業界専門紙の対応にしぼりたいので、映像を含め、(他のメディアは)お断りさせていただいているんです」
と回答してきた。「取材を断らない」発言がきっかけとなり、対応しきれないほどの取材依頼が殺到しているようだ。
猛抗議の後、反省。「なんかかわいい」と好感度アップ
そもそものきっかけは、日経ビジネス2012.4.30号の「社長の発信力ランキング」という特集記事。ソフトバンクの孫社長が編集部独自の採点方法で6万点を獲得する中で、林社長は「発信力ゼロ社長」というありがたくないリストに加えられてしまった。
これに怒った林社長は、日経ビジネスの編集部に連絡を入れたらしい。そしてインタビューの中で、「反論の機会も与えない。マスコミの暴力、一方的であると受け取らざるを得ない」と猛抗議をしている。
しかし、記者の質問に一つひとつ答えながら、社長は徐々に態度を軟化させていく。そして、会社が20年前に広報部を廃止し、総務部に担当を1人しか置いていないことにも触れて、
「広報の弱さは否めない。記事も一理あるなと思いました」
「今回のことがきっかけになって、いい方向に構造改革ができればいいと思います。『記事を書いてくれてありがとう』とまでは言わないが、反省にはなりました(笑)」
と素直に答えている。この人間味あふれるインタビューはネットで公開され、すぐに大きな話題となった。会社経営者でブロガーのやまもといちろう氏は、
「無理に広報しなくてもしっかり実業がしていれば良いというのは大事なことですね」
「久しぶりにいいものを読んだ。楽しかったです」
とコメントし、他のネットユーザーからも「怒ったり反省したりおもろい社長だな...」「なんかかわいいぞ、この社長。」と好感度が急速にアップしている。
過去には大手メディアのインタビューを受けたが、「記事にしてもらえなかった」とこぼしていた林社長。次回の「社長の発信力ランキング」の順位には期待ができそうだ。