コールセンターで働くためには、守らなきゃいけないたくさんのルールがあります。
「まぁ、これはしょうがないだろうなぁ」と思う決まりごとから、「もう少し柔軟になれないの!?」と思わず頭を抱えてしまう変なルールまで。きっと全国のコールセンターにも色々あると思うのですが、ここでは私の働く債権回収の現場で適用されている主なルールをご紹介します。
怒鳴られ続けても「こちらから電話を切ってはいけない」
コールセンターのオペレーターは、自分から電話を切ることを禁止されています。お客さまから電話をいただいて、もしくはこちらから電話をかけておいて、先に切るのは失礼に当たる、という理由からです。
もちろん会社が決めたルールですが、オペレーターの身としては大変苦労します。
「どこのどいつだ! 名を名乗れ!!」
夜分に契約者さまの自宅にかけると、大抵ご家族が出ます。以前もコラムに書いたように、「家族に内緒にしてほしい」と希望があるお客さまに対して、オペレーターは会社名を名乗れず個人名で対応します。
けれど、相手の電話機がナンバーディスプレイだった場合、個人でかけてるのにフリーダイヤルが表示される、という大変あやしい状況になります。
「フリーダイヤルでかけてるなんて、絶対あやしいだろ! なんだ!? セールスか? それとも取り立てか!?」
このように不審に思ったご家族からきつく追及されるのですが、こんな時にも「こちらから電話を切ってはならない」というルールが発動します。オペレーターは相手が電話を切ってくれるまで、
「い、いえ、あやしいモノではありません」
「個人的におかけしてます。決して会社じゃありません!」
と、しどろもどろで言い訳を続けます。
そりゃ、あやしすぎますよね! 私もお客さまに同感です。会社は未だかたくなに「こちらから切ってはいけない」と強要するのですが、このルール、ホントに必要なのかなぁ…?と思う昨今です。
彼氏彼女ができても「職場に携帯電話を持ち込めない」
コールセンターのオペレーターは、職場に携帯電話を持ち込むことができません。会社が管理していないノートやメモ類はもちろん、化粧ポーチなど録音機器が隠せそうなものなども、持ち込みは固く禁じられています。
これは、お客さまの住所や電話番号などの個人情報が外に流出しないようするためです。コールセンターに入る時は、透明なビニールバックに筆記用具とマニュアル類のみを入れ、後は全てロッカーに入れて施錠します。
コールセンターからロッカーまではけっこうな距離がある上(往復で5分以上かかる)、私たちは朝から晩までひっきりなしにかかってくる電話の対応で、ほぼ一日中コールセンターから外に出ることができないので、携帯電話はほとんど見れません。
すると、友だちからの当日の飲み会の誘いを無視してしまったり、彼氏彼女からのメールや電話を返せずケンカになったり、人間関係に大きな支障が出ているようです。会社よ、これ以上、みんなの婚期を遅らせるのはやめて下さい…!
「食べ物の持ち込み禁止」でコールセンター・ダイエット
コールセンターのオペレーターは、職場に食べ物類を持ち込むことを禁止されています。これは、お客さまから急に電話があったとき、口の中に食べ物が入っていたらまずい、という理由からです。
飲み物も、蓋がついたモノに限定されていますので、電話の合間にティーカップ片手にホッと一息、なんて優雅なこともできません。
残業中にお腹が減って、机の中のお菓子をつい食べ過ぎて太っちゃったよ~、なんていうOLやサラリーマンの悩みとは無縁です。どんなに高らかにお腹が鳴っていようと、立て続けにかかってくる電話が終わらなければ、外に出て物を食べることは許されません。
空腹感に耐えきれない時は、唯一エチケットのために持ち込みが許されているフリスクやミンティアを大量に食べて飢えをしのぎます。
なんと、私はこれが原因で、入社半年で体重が10キロ減りました、名付けて「コールセンター・ダイエット」!ってこれ、流行らないですよね…。(N本=えぬもと)