棒グラフを壁に貼っている会社は「ブラック営業」なのか

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「担当者の役割」を再定義したら営業が変わった

   コンサルティングチームは、経営理念を踏まえて「営業担当者の役割」を再定義することから始めました。それは、次のようなものです。

「営業担当者は、顧客にとって販売者ではなく、サービス・コンサルタントである」

   これは、すべての業種に共通する営業の心得です。管理者も担当者もこれを忘れたときに、「ブラック会社のブラック営業」に足を踏み入れることになります。

   そして、この役割遂行を「実績」と同じレベルで人事評価に加える、新たな業績評価ルールを策定しました。クレームやクーリングオフの発生率は、ある一定以上の場合にはマイナス評価として反映させることにしました。

   ただ、問題の根本は、現場の管理職のせいだけではありません。管理職にそのようなマネジメントをさせている営業所長にも責任がありますし、元を正せば実績数値だけを見て「おたくの営業所は何をやっているんだ」とハッパをかけていた社長に源を発するのです。

   この一件で、社長は考え方を変えて「営業職はサービス・コンサルタントである」と大号令をかけ、これまでの評価の考え方を大きく変えるよう呼びかけました。研修などの教育制度の見直しも行いました。

   一連の取組みにより、営業担当者の意識も変わり、私たちがコンサルティングに入った翌年にはクレーム発生率が30%減り、その翌年にはさらに30%減となり、当初から半減したと報告いただきました。

   クレームの発生を「営業マン個人の能力、資質の問題」としか考えず、人を雇ってはクビにするという繰り返しで対処していたら、こんな改善は生まれなかったでしょう。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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