皮肉交じりの質問が出るたびに、会場は笑いに包まれた
およそ30分のスピーチの後、質疑応答が行われた。三木谷社長はここでも、同時通訳のレシーバーをつける様子はない。
「あなたはネイティブ並みに上手な英語を話しているが、一体どうやって習得したのか」という質問が出された。三木谷社長は海外で数千人規模の聴衆を前に、話をする機会を重ねたことを挙げた。
「スピーチの中で文法ミスをしたとしても気にせず、自分自身の言葉で表現すれば、相手は必ず耳を傾けてくれる。日本人のリーダーたちは、それをためらってしまう」
過去の撤退話を掘り起こし「グローバル化するとは言うものの、中国はどうしたのか」という質問も出た。これには「プロモーションがうまくできなかった」と反省を述べつつ、「中国は現時点では過熱気味。成長に関しては懸念がある」と苦笑した。
「楽天市場に出店している店舗も英語化しないのか」という皮肉には、「英語の店舗もありますから、そちらでお買い物をして下さい。私たちの方から店舗様へ強制できません」とおどけてみせた。
「英語化が嫌で辞めた社員はいましたか?」という質問には、確かにいると認めつつ、あまり多くないと答えた。辞めた社員からの捨てセリフは「なかったと思います」。
英語で話すからといって「日本語の文化」を失うわけではなく、日本の強さをグローバルに示したいと熱く語った三木谷社長。最後は出版したばかりの『たかが英語!』(講談社)を示しながら、帯に書かれた「英語公用語化で日本は復活する!」を強調した。
ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど様々な地域出身の外国人記者が、口々にユニークな皮肉混じりの質問を投げるたびに、会場は笑いに包まれた。日本人記者ばかりでは、こうはいかなかったのではないか。三木谷社長が望んでいるのは、こういうオープンで自由闊達な雰囲気なのかもしれない。(池田園子)