就職難でようやく仕事にありつけたはずなのに、数年も経たないうちに辞めてしまう若者が少なくない。次の就職先を見つけるのもなかなか難しい中で、当面の頼りになるのが「失業保険」だ。
ある会社では、入社2年目で退職する営業マンが、退職事由を「会社都合」にして欲しいと頼み込んできた。課長は「別に会社が損することはないだろ」と言うが、果たして大丈夫なのだろうか。
課長も「やってくれないか」と言うけれど
――システム開発会社の人事です。営業のA君は新卒入社で2年目ですが、仕事が合わないということで会社を辞めることになりました。
営業成績が上がらず、部内の人ともあまりうまくいっていません。課長もいろいろ指導したようですが、改善は難しかったようです。
管理部門のリストラをしたばかりで、配置転換も難しく、課長からは「退職勧奨しかないかなあ」とちょうど相談があったところでした。
A君からの申し出を受け、課長は「そうか、仕方ないな。新しい会社で頑張れよ」と伝えたところ、ひとつだけお願いがあると切り出されたのだそうです。
「離職票の退職事由は『会社都合』にしてもらえないでしょうか? 実は次の会社が決まってないんです。自己都合だと失業保険をもらえるまで3か月くらいかかるようですが、会社都合だとすぐ出るそうなので、なんとかお願いします…」
そこで課長は、確かにA君では転職先もなかなか見つからないだろうと思ったのか、「会社都合でやってくれないか」と頼みに来ました。
ただ、会社としては、解雇したわけでもないので、厳密に言うとウソの申請になります。課長は「別に会社が損することはないだろ?」と言うのですが、この程度なら許容してもいいものでしょうか――