大リストラ時代の40代会社員――残るも地獄、辞めるも地獄

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親会社のリストラで「ところてん式」に押し出された43歳

   大手N電気系列のソフトウェア開発会社で働いていたSさんは、43歳でリストラ対象になった。1985年に地方の国立大学を卒業、専攻は情報処理学。銀行のオンラインシステム、地方自治体の住民管理システムなどの開発に、システムエンジニア兼プログラマーとして関わった。

   慣例では、40代になればセールスエンジニアや営業、総務や経理などの事務管理部門に異動するところだが、同じタイミングで親会社をリストラされた人たちが大量に流れ込み、ところてん式に押し出された。一緒に解雇された25人の中には、35歳の若さの人もいたという。

   その後、2年経った正月に夫婦喧嘩をきっかけに家出。2週間の野宿生活の後、古紙回収の日雇いアルバイトで生計を立て、いまでは簡易旅館やネットカフェを泊まり歩いている。

「私にも男としてのプライドがあるから、みっともない姿を見せたくはないんだ。妻の方だって、この状態でのこのこ来られたら迷惑だと思います…」

   中核人材として会社に残れれば、仕事のやりがいや経済的安定は維持できるが、激務のために心身の健康を損なったり、家族との絆が失われたりするリスクがある。「ぶら下がり人材」になるためには、何よりも鈍感力が欠かせない。

   会社を辞めて転職や起業を試みる人もいるが、必ずしもうまくいくとは限らない。新しい職が見つからないか、見つかっても収入が大きく下がり、「有名企業の正社員」という社会的地位も失う。結局、安泰な道はなく、いずれを選ぶにも「得るもの」と「失うもの」のトレードオフで考えるしかなさそうだ。

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