「検閲しない方針」を貫いてキャンペーン効果も上々
また、子どもに母乳を飲ませている写真を掲載したり、「スウェーデンにジャスティン・ビーバーのような人がいても誰も相手にしない」と世界のアイドル歌手を嘲笑する投稿をして、CNNニュースなどで取り上げられてしまった。
それでもソニアさんは、市民管理人の立場を剥奪されなかった。スウェーデンの公式観光プロモーション機関「Visit Sweden」の代表は、理由をこう説明している。
「スウェーデンというブランドの所有者は、国民であり、それ以外の何者でもない。今回のキャンペーンで、各自がそれぞれのスウェーデンを世界に示してくれればと思う」
ソニアさんの「炎上」効果もあったのか、このキャンペーンにより@Swedenのフォロワー数は8000人から6万7000人に増加。リツイートや返信などフォロワーによる反応率は28%から553%に向上した。
このようなキャンペーンを企画する段階で、ソニアさんのようなケースが生じるリスクは当然想定できたはずだが、政府観光局は市民に投稿の内容を一任し、検閲しない姿勢を貫いている。このような「スウェーデンならでは」の運営方法がユーザーに与えたインパクトは、決して小さくないだろう。
広告賞というと、作り手目線による芸術的・技術的なクリエイティブ要素が重視され、ユーザーからは内輪受けの印象を受けることも少なくない。今回の例のように量的・質的な「キャンペーンの効果」自体が正面から評価されたことは、多くの企業PR関係者にとって刺激になるのではないか。(岡 徳之)