会社の中に「ブラック会社」があるように、営業マンの中には「ブラック営業マン」がいます。勤め先がブラックかどうかは別として、言動ひとつで「こいつはブラックだな」と思わせてしまう人がいるのです。
相手がそう思ったら、もうアウト。どんなにいい提案を持ってこようとも、営業マンが信用できなかったら、成約に結びつくことはないのです。今回は、私が実際に経験した「ブラック営業」をいくつか紹介してみましょう。
タダと見せかけて、別口実の費用負担を求めてくる営業
「うちはとにかく安いんで、話だけでも聞いてください」
価格だけを訴えてくる営業はダメと何度も説明していますが、「安い」を前面に出して買わせようとする営業は、私にとってはブラック判定です。
安いものには何かワケがあるはずですが、その「ワケアリ」がちゃんと説明できなければ、「ウチは実はモノが悪いので安い」としか聞こえません。そんなもの、誰が買いますか?
「無料ですから」と近づいてくる営業にも、やはり警戒をしてしまいます。これはつい最近あった実例ですが、
「うちのサイトはいま優良店舗さんにタダでご掲載いただいて、知名度を上げてアクセスを増やしたいのです。なので、掲載料はいまなら不要です」
という営業マンが来ました。来店者のデータを取りたいので、○○というネット直結の機器をカウンターに設置してくれという。機器も「もちろん無料」とのこと。
「本当にタダ?」と聞くと、「本当にタダです!」という答え。この時点で、なんかうますぎるなと眉ツバなのですが、ひと通りの話が終わると、やはりこう切り出されました。
「以上のように、掲載料、機器、全てタダです。ただ、ウイルス感染予防ソフトの使用料だけ、実費負担いただきたいんですよ。たった1日100円ですから。日々の売上から、チョコっとご負担ください!」
こうサラリと言ってのける。もうブラックさ満点ですよ!1日100円って、月3000円。年間3万6000円です。立派な年会費じゃないの?中にはだまされる人もいるのでしょうが、こんな営業、完全にアウトです。
質問に「気にしなくて大丈夫」と答える営業もイヤだ
代理店営業が、サービスを提供する大手企業名でアポ取りをして、訪問時に代理店の自社名刺を出してくることがあります。
「あれ、N社じゃないの? 電話と違うじゃない」
「いや、うちはN社の代理店をしておりますM社といいまして、商品の中身はN社のものですから、ご安心ください」
などと言われるわけですが、どこか虚を突かれたという気分の悪さもあり、こちらは「油断ならねーな、こいつ」モードになってしまうのです。これではまず成約は無理ですね。聞く気持ちのシャッターが下りてしまいます。
質問に対して、ちゃんと答えずにごまかす営業もブラック判定です。売り込もうとする商品・サービスについて、些細な質問でもきちんと答えて欲しいものです。
「あっ、そこは製品使用上、全く問題ないんで。気にしなくて大丈夫です。それよりこちらの機能の方が重要ですので、ちょっと聞いてください」
仮にそうだとしても、こちらは疑問を持ったから聞いたのであり、それに答えないと、「こいつは商品を売ることにばかり熱心で、買い手のメリットなんて本気で考えてないな」ということになるわけです。
これらはほんの一例ですが、世に「ブラック営業」は本当に多いのです。こんな「売らんかな営業マン」こそ、ブラックの最たるもの。間違ってもモノは買いたくないですね。
え、厳しすぎると思いますか? でも、会社の利益一辺倒で顧客の方を向かず、従業員をコキ使うだけの「自己中」会社はブラック会社と呼ばれますよね。自己中な営業マンも、それとまったく同じではないですか?(大関暁夫)