臨床心理士・尾崎健一の視点
「前向きの周知徹底」が経営リスクを抑制してくれる
就業規則は、従業員が働く上で必要なルールです。ルールに不備があれば、労使トラブルの際に従業員を処分したくてもできなかったり、そのことによって会社が大きな損害を受けたりするリスクがあります。これは会社経営の根幹にかかわることであり、だからこそ法律で作成が求められているのです。経営者として法律の「難しいことは分かんない」「細かいことはいいんだよ」では済まされません。
したがって、従業員に対する周知も「雛形を流用しただけだし、できるだけ見せたくない」のではなく、「きちんと必要なルールを定め、きちんと徹底していく」という方向に切り替える必要があるでしょう。単に閲覧できるようになっているだけでなく、従業員向けの説明会を開くとか、就業規則の意味を解説するマニュアルを添えるとか、前向きな周知徹底をした方がリスクを低く抑えられます。ルール遵守も図られますし、従業員からの質問で思わぬ抜け穴が発見できるかもしれません。新入社員はもちろん、中途入社をした人も含めて、きちんと理解できるようにしておくべきだと思います。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。