法務責任者の社内弁護士が7億円横領? 米国で指名手配中

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海外の現地調査サービスを活用するのも手

   このような海外拠点における管理面の脆弱性を克服するためには、次のような対応が検討に値するだろう。ひとつめは、現地で信頼のおける外部の監査・不正調査サービスを定期的に活用することである。もうひとつは、システム投資をして現地法人の主要な勘定の動きを本社で常時把握できるようにすることである。

   ちなみに、この事件の調査をした者はCFE(公認不正検査士)という専門資格を有している。会計や法律、犯罪心理学、調査手法の知識を有し、組織の不正予防から調査まで行うCFEの資格取得者は、日本でも増えつつある。

   最近の厳しい経営環境の下では、不正防止、発見のための追加投資は後回しにされがちである。しかし、自社がこの事件のような億単位の損失に見舞われたと考えれば、検討する価値は十分にある。

   損失を取り戻すためには、何倍もの売上が必要になる。備えあれば憂いなし。同じような事件は自社では決して起きないと言い切れるだろうか?(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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