日本企業の81%が「人材不足を感じる」と答えた調査結果が話題となっている。
この調査は、マンパワーグループが日本企業1011社を対象に実施したもの。2012年の日本における企業の「人材不足感」は、前年同期比で1ポイント増え、6年前の調査開始以来の最高値を記録している。
世界の「人材不足感」の平均値は34%。調査対象の39か国中、日本企業が突出して高い値を記録している。近年、失業率が上がり、新卒の内定率は下がったものの、世界的に見ればまだまだマシということなのか。
「なぜ雇用拡大できないのか」と憤る声も
それにしても、仕事が得られない人たちから見れば、81%という高い数値には納得がいかない。ネットには、こんな声もあがっている。
「人材不足なら雇用拡大すればいいじゃないっすか」
「不足したら新しいの入れろよ」
なぜ、仕事を求める人がこんなに多いのに、「人材不足感」が強いのか。企業が「即戦力のスーパーマンしか雇いません」と高望みしているだけなのだろうか。
「若者に即戦力とか求めるからだろ。育てろよ」という声もある。確かに、人材不足を感じるという回答が多かった職種は、「エンジニア」「営業・販売職」「会計・財務スタッフ」が上位。いずれも資格のみならず、経験と実績がモノを言う専門職だ。学校を出て、即戦力になれるような職場ではない。
人材育成を行う企業がなくなれば、「即戦力」もいずれ消滅してしまう。企業が人を育てる意識を減らした原因は、「成果主義」の導入にあるという指摘がある。「人材は調達するもの」という考え方をもたらした、人材流動化の風潮が悪いという人もいる。
不況で会社に余裕がなくなっていることも、もちろんあるだろう。若手がプライベートを優先して仕事に身を入れず、ちょっときつくなるとすぐ辞めるので育てる気が起こらないという年長者の意見もある。
「社内の都合を優先する能力」だけではやっていけない
不可解なのは、企業が「人材確保が難しい」とした理由だ。人材不足を感じる企業に尋ねた結果、最も多かったのは「対人力」という回答で27%。「チームワーク・協調性」「熱意・モチベーション」が26%、「柔軟性・順応性」が23%となった。
人材に不足している「対人力」とは何だろうか。ネット上には企業の採用担当者が、有益な商品・サービスにつながる専門的スキルより、悪しき「コミュニケーション力」を重視しすぎると指摘する書き込みがあった。
「(コミュ力)とは『社内の都合や事情を優先する能力』ということ。これは『社外から見るとコミュ(ニケーション)障(害)』になるということだ」
この書き込みは、技術力がありながら世界を席巻したiPhoneの後塵を拝し、「自分たちの都合のために顧客が望むものを提供できなかった」ソニーやドコモを引き合いに出し、
「そもそも顧客に価値を提供することが目的でない組織になっていることに気づこう」
と批判している。
確かに、人材確保が難しい理由に挙げられた要素には、良好な人間関係を維持するためのヒューマンスキルに偏りすぎている。そんな内向きな人材を探して採用しても、結局は企業としてイマイチの結果に終わるのではないか。それとも自分が勤めているうちは、社内の居心地を優先しようというのか。