日本経済は低成長時代になりました。高度経済成長のころのように、仕事が溢れているわけではないのです。誰もが仕事を取り合っているため、効果的な営業活動をしないとお客さんが取れません。
しかし、仕事への理解が不足しているせいか、「営業」という仕事は人気があるとはいえません。営業職への異動があると大きなショックを受けたり、必要性を理解していても避けたりするケースが見られます。ここはひとつ、腹をくくって前向きに取り組んでみませんか。
設計屋も有資格者も、仕事の取り合いは避けられない
会社に勤務するビジネスパーソンが、同じ部門に長く勤務することは難しくなっています。職場は仕事のノウハウが人に依存しないよう、「ジョブローテション」を頻繁に行なうようになりました。
また、このご時勢ではどこの会社でも、営業は強化すべき機能ということになっています。あるゼネコンでは、設計部門の社員の半数を数年以内に営業職に異動させると宣言したことがありました。
営業現場の経験を積んで再び設計に活かして欲しい、という側面もありますが、やはり設計の経験を生かして営業で活躍し、新たなキャリア形成の機会にすることの方がより望まれているようです。
この宣言に、設計部門の社員たちは、
「自分は設計屋なんだ。営業なんかできない」
「会社は自分を辞めさせようとしているのか?」
など大騒ぎになり、退職した社員もいましたが、大半は異動を受け入れたようです。
このような営業職への人材の大移動は、あちこちで行なわれるようになっています。営業の仕事を求められる機会が増えていくのは間違いありません。
いわゆる専門有資格者も、資格取得者が増えすぎたために、資格があるだけでは食べていけなくなりました。黙って座っていれば、「先生、ご相談があります」と仕事が舞い込む時代は終わりました。自ら仕事を取りにいく営業の精神がないと食べていけないのです。
「前向きにやる」と考えることで仕事が変わる
営業的なスキルをもつことは、誰でも避けられない時代になっていきます。とはいえ、営業の仕事にどうしても苦手意識を抱く人もいるでしょう。「人と話すのが苦手」という人には、
「おしゃべりばかりが歓迎されるわけではない」
「営業は口ベタでも成果を上げる人はいる」
と助言しましょう。「押し売りしているようでイヤ」という人には、相手のメリットを追求していくことで、なすべき営業が見えてくるとアドバイスしておきます。
すでに営業の仕事に就いていて、「うまくいかないから辞めたい」「本当は営業になりたくなかった」という人には、「この先、自分の力で食べていきたいのだったら、諦めて前向きにやるしかない」と言うしかないかもしれません。
営業という仕事は、気合と根性さえあれば誰にでもできると誤解されているせいか、自分に与えられた役割・ミッションに対してネガティブになってしまう人が少なくないようです。
しかし、あなたが自分の仕事に誇りを持っていないと感じれば、商談相手だって自分の貴重なお金を出そうとなど思うわけがありません。
どんな仕事でも、あなたの発想と行動力で素晴らしいものになります。逆に言えば、イヤイヤ仕事をする人は、ある意味センスがないのです。「営業ができれば、必ず武器になるんだ」「こんなに楽しくて働きがいがあるものだったのだ!」と、ぜひ気づいてほしいと願います。(高城幸司)