有休の「退職時取得」がコワイ… お盆にまとめて取らせていいか

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
年次有給休暇の「計画的付与」なら問題はない

   有給休暇の申請に対し、会社は「時季変更権」を行使することができますが、退職日が決まっている場合、有休を取得しきれない形での変更はできません。したがって、会社が有休取得を促進しないと、退職時にまとめて取得されて引継ぎなどに影響が出るリスクが高くなります。その意味でも、有休の消化率をある程度高めておくことは必要なことです。「誕生日休暇」や「記念日休暇の名目」で、分散して消化させることも考えられます。

   なお、会社がお盆にまとめて有休を取得させることは、「計画的付与」といって法的には問題ありません。実施するためには、就業規則に定め、従業員代表と労使協定を結ぶ必要があります。ただし、すべての有休取得日を会社が指定することはできず、病気など個人的な事由で取得できるように、少なくとも5日間は社員が自由に使えるようにする必要があります。新入社員など労働日数が少ないために有休が付与されていない社員には、特別休暇を与えるか、休業手当として平均賃金の6割を支払うことになります。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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