「残業したら罰金!部の飲み代に充当」って大丈夫?

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
そのままでは違法だが、似た効果を上げる方法はある

   残業代が漏れなく支払われる場合、残業時間が多いほど収入が多くなるため、社員には労働時間削減のインセンティブが働きにくくなります。「仕事が遅い人ほど高収入」という矛盾も起きます。会社が「残業をすればするほど損をする」しくみを作りたいという思うのも自然でしょう。しかし、「残業したら罰金」というのは法的に問題があります。労働基準法16条は、会社が社員との間で違約金を定めたり、損害賠償を予定する契約を結んではいけないとしています。ノルマ未達成なら罰金とか、退職したら損害賠償といった契約は無効です。

   ただし、賞与の支給前に賞与原資を部署によって調整する方法なら、法的には問題ないでしょう。実際、ある外資系企業では、残業を原則禁止とし、残業時間に応じて部署の賞与原資を減らしているそうです。労働時間は、個人だけでは削減しにくいものです。この方法なら、組織的に業務分担やプロセス、やり方の見直しをするインセンティブが働くのではないでしょうか。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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