社会保険労務士・野崎大輔の視点
そのままでは違法だが、似た効果を上げる方法はある
残業代が漏れなく支払われる場合、残業時間が多いほど収入が多くなるため、社員には労働時間削減のインセンティブが働きにくくなります。「仕事が遅い人ほど高収入」という矛盾も起きます。会社が「残業をすればするほど損をする」しくみを作りたいという思うのも自然でしょう。しかし、「残業したら罰金」というのは法的に問題があります。労働基準法16条は、会社が社員との間で違約金を定めたり、損害賠償を予定する契約を結んではいけないとしています。ノルマ未達成なら罰金とか、退職したら損害賠償といった契約は無効です。
ただし、賞与の支給前に賞与原資を部署によって調整する方法なら、法的には問題ないでしょう。実際、ある外資系企業では、残業を原則禁止とし、残業時間に応じて部署の賞与原資を減らしているそうです。労働時間は、個人だけでは削減しにくいものです。この方法なら、組織的に業務分担やプロセス、やり方の見直しをするインセンティブが働くのではないでしょうか。