「時限発火式ナマポ爆弾」が大爆発
もっとも、今にして思えば、親族扶養義務化が彼らなりの対案だったのかもしれない。また、団塊世代の親が亡くなったニートも、続々と生活保護に流入し続けていた。もちろん、最優先でその費用を負担するのは、彼ら自身の兄弟姉妹である。
高齢フリーターやニートによるナマポ申請の波は「親族の扶養義務」という防波堤に阻まれ、彼らの家族のもとに流れ落ちていった。
本来は、もっと早い段階で、年金制度の一元化や積立方式への移行等、社会保障制度自体の持続可能性を高める抜本改革に着手しつつ、そこから古い「家制度」の名残を一掃しておくべきだった。そういった抜本改革をやらないまま、芸人叩きでお茶を濁した結果がこれである。
いうなれば、山本君は「20年後に大爆発する時限発火式ナマポ爆弾」を自分で自分にセットしたようなものだった。もちろん、元々バリバリの上流家庭出身の片山、世耕両議員は、ナマポ爆弾なんてものとは無縁の余生を楽しんでいる。
ところで「親族の扶養義務強化」によって、不正受給者は減っただろうか。不正受給率0.4%という数字自体は横ばいのままだ。当たり前の話だが、もともと収入のある親族がいたからといって生保受給するのは違法でも何でもないのだから、そこを締めあげて不正受給が減るわけがない。
こっそりバイトをしつつ受給する人間、他人名義に変えたマンションや車を持ちつつ受給する人間、裏社会で仕事をしつつ受給している人間など、本物の不正受給者たちは、ホッと胸をなでおろし、その後も平和なナマポライフを謳歌している。
彼らにとって、有名人の親族絡みのドタバタは、問題の本質から目をそらしてくれる格好の煙幕になったわけだ。