臨床心理士・尾崎健一の視点
「買う・買わない」と「人間関係」を分けて対応する
会社としては、本人に「上手な断り方」のアドバイスをすることで、大きなトラブルに発展させない方法もあります。知人の商売の勧誘を断るには、「買う・買わない」と「人間関係」を分け、それを相手に伝える方法があります。不要な商品でも断りにくい理由は、職場のつきあいや友人としての「人間関係」を壊してはいけないと思うからです。
まずは相手の話に耳を傾けつつ、「私には必要ない」「私は買わない」と短く断ること。何かとこじつけようと思っても、言い訳に対するマニュアルが準備されているからです。また「へえ、それいいね」「欲しい!」と安易に言わないことです。「前に欲しいって言ったじゃない!」と言われないためです。そのうえで、「私には必要ないけど、仕事上のおつきあいは続けられるよね」とか「買わないけど、友達関係は続けてもいいかな」と話の力点を人間関係に移し、相手に人間関係の継続について選択させるといいでしょう。そこで壊れる人間関係なら、いずれ壊れる可能性が高いものです。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。