昔は従業員に「副業禁止」を強いていた企業も、長引く不況で給与カットが続き、アルバイトを解禁したり黙認するところも出ているようだ。そうでもしないと生活を維持できない世帯もあるだろう。
ある会社では、アルバイトで健康食品のカタログあっせん販売をしている従業員が、終業後や休憩時間に同僚たちに商品を強く勧め、会社に苦情が入っているという。
「仕事以外の時間で私が何をしようが自由よ」
――食品工場の総務担当です。製造部門のパートタイマーAさんから「同僚のBさんが迷惑行為をしていて困る」と苦情を受けました。
先週、Bさんから誘われて飲みに行くと、仕事のグチから健康の話題になりました。するとBさんがパンフレットを持ち出し、
「このあいだ職場で『最近、健康に気を使ってる』と話してたじゃない? それでAさんだけに教えるんだけど、このサプリメントを毎日飲むとね、ガンの発生率が低くなるんですって」
そして、いまこの商品を定期購入すると「これだけお得になるの。ねえ、いいでしょう?」と強く勧めてきたそうです。
そのときは「サプリでガンにならないなんて」と笑って受け流したのですが、Bさんは翌日から昼休みのたびに「あの件、考えておいてくれた?」と話しかけてきます。
「でも、そんなにお金に余裕ないし…」
と断っても、「もし入院治療したら何万円もかかるのよ。Aさんにいいことなんだからさ」としつこく勧めてくるのだとか。
同僚のCさんとDさんに打ち明けたところ、「あ、それ私にも勧めてきた」「強く断ったからAさんに行ったんだね」と話していたそう。私だけに教えるなんてウソじゃない、とBさんに問いただすと、
「私はみんなにいいものを勧めているだけだから、他人からとやかく言われる筋合いはないわ。仕事以外の時間で、私が何をしようが自由よ。会社だって、休憩時間やプライベートに口出しする権利はないでしょう?」
と悪びれたところが全くありません。Aさんは「Bさんの顔を見ると気が重くなる。彼女を異動させてほしい」と訴えるまでになりました。
会社としては、苦情を放置するわけにもいかず、とりあえずBさんに勧誘をやめさせたいのですが、会社はどこまで口出しできるものなんでしょうか――