横領による「金銭感覚のマヒ」はこんな形であらわれる

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予兆を見逃さないために必要なこと

   それぞれが自分のことで精一杯な日常で、「不正」を見抜く注意に労力を費やすことは簡単ではない。ただ、金融機関などで不正を見抜くことに成功した人には、「急に服装や言動が変わった気がした」「なんとなくおかしな感じがした」といっている。

   横領を完璧に予防できるシステムは存在しないし、そのためだけに多額のコストをかけることも許されない。であれば、小さな兆候に気づき、傷を大きくしないことも重要である。

   A氏と日々接していた家族、上司、同僚、相談を受けた住職など「今から思えば」ということが少なからずあるのではないか。

   そのためにも「この人なら絶対安心」という思い込みをやめ、お互いに相手へ関心をもって日々顔を見ながら会話を交わし、小さな変化を見過ごさないことであろう。

   特に、管理者にとっては、部下一人ひとりや職場の雰囲気、そして日々目にするデータや書類に細心の注意を払い、異常値を見逃さないことこそが重要な職務だといえる。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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