非正規雇用に押しつけられる「感情労働」のお仕事

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「督促」は攻めと守りのハイブリッド感情労働?

   そして、この本でもう一つの代表的な感情労働とされているお仕事が「集金人」です。

   集金人は、好んで言いたくもない「お金を支払って下さい」という言葉を、仕事のために言わなければなりません。相手の言うことに耐えるのが守りの感情労働なら、集金人は攻めの感情労働というわけです。

   ということを踏まえて、私のやっている「督促」のお仕事を見てみると……。アレ? お客様にひどいことを言われても黙って耐え、「お金返してください」と言わなければならない仕事って、「攻め」と「守り」の感情労働を兼ね備えているような……?

   なるほど、それで「感情労働の中の感情労働」と言われたわけですね。

   なお、感情労働は、肉体労働をするには体力が伴わず、頭脳労働をするにはスキルが満たない、職業をあまり選ぶことができない弱い立場の人々に押しつけられがちです。

   いま仕事を探そうとすると、求人があるのは飲食の接客業や、営業、コールセンターのオペレーターなどの感情労働ばかり。確かに、非正規雇用で働く人が担うことが多いのが現状です。

   これらのお仕事は精神的な負荷が大きい割に賃金が低く、そのうえ精神的に負った疲労は肉体や頭と違ってなかなか取れにくいものです。このように感情労働は、肉体労働や頭脳労働に取って替わり、現代の雇用の中で拡大を続けているのです。(N本=えぬもと)

債権回収OL・N本(えぬもと)
某金融機関で債権回収部門に所属する20代OL。コールセンターで支払延滞顧客への督促を担当している。入社半年で3億円の回収を達成して頭角を現し、10万件の顧客を担当する精鋭チームに最年少で配属された実績を持つ。他人に強く言えない気弱な性格を逆手にとり、独自の「交渉メソッド」を開発。300人のオペレーターを指導しながら、年間2000億円の債権回収に奮闘している。好きなものは、ビールとスイカ。ブログ「督促(トクソク)OLの回収4コマブログ」。(本コラムは当事者のプライバシー保護のため、一部事実と変えている点があります。)
榎本まみ:督促OL 修行日記
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