ビジネスでは相手に言いにくい、厳しいことを言い渡さなければならないときがあります。相手から恨まれたくないと思っても、ハッキリ伝えないと悪影響が出ますので、これは仕方のないことです。
単刀直入に言い渡す方法もありますが、それではわざわざトラブルを招くようなもの。モノは言いよう、という言葉もあります。そこで「世間話」を挟む方法についてご紹介しましょう。
クッションを挟んで「理由」をほのめかす
例えば、長期間にわたって提案してもらった商談にもかかわらず、営業にお断りの返事をしなければならなくなったとします。その時に、いきなり、
「これまでの話はなかったことに…」
と切り出しては、相手もショックですし、失礼に当たります。
「ふざけないでください!」と感情的になって食ってかかってきて、その後の説明も聞いてもらえなくなると収拾がつかないトラブルになりかねません。
そこで、なぜそういう判断をしたのか、ということについての「理由」や「根拠」「背景」をほのめかす話題を選び、クッションの話題とすることが考えられます。
予算縮小に伴い、プロジェクトの立ち上げが延期になった場合、
「先日の大手電機メーカーの巨額赤字の記事、ご覧になりました?」
と切り出し、相手が「ええ、見ました」と答えたことを確認してから、それによって自社への発注が減ることが予想され、全社的なコストカットが掲げられたことを説明します。
そして、事業計画の優先順位づけが変わって、プロジェクトにも影響が出てしまったことを告げるわけです。相手は大いにガッカリするでしょうが、最初に「ええ」と返事した流れで説明されてしまった手前、納得せざるを得なくなります。これがいきなり、
「これは決定事項ですからね。もう変更できません」
と通告されれば、「こんな失礼なところには、もう頼まれたって仕事しない!」と反発が強くなってしまうのは当然です。
「理由」には、複雑な要因が絡みあっていることもあるでしょう。理不尽なものもあるかもしれません。しかし重要なことは相手に納得してもらうことですから、もっとも重要でわかりやすいロジックを選ぶことがポイントです。