「超長期の借入」がデメリットに転じている
こうした実態を引き起こしているのは、水道事業が超長期、つまり20年とか30年とかの期間で借入している部分が少なくないためである。
民間企業なら20年、30年後、どうなっているか分からないので、そうした超長期にわたって融資をしてくれる金融機関は基本的にない。あっても、かなり高い金利を支払うはめになるから、事実上、超長期の借入はなくなる。
しかし、公営企業である水道事業は、地方自治体が行う事業である。暗黙の政府保証もあるので、超長期の借入ができる。また、そうした借入ができるように専門の金融機関がある。かつての公営企業金融公庫、今の地方公共団体金融機構である。
水道事業を営む公営企業からも、超長期の固定金利で借りることは、メリットがあると思いこまれている。予算が立てやすく、世代を超えて利用者が公平に負担することになると信じられているからでもある。
実際は、超長期で借りることで膨大な利払いをしていることに気づくのが遅れたようである。人口減少が進む社会では、たとえ年度ごとの利払い額が同じでも、個人あたりに直すと負担が増すことになる。結局のところ、超長期で借り入れることのメリットは逆にデメリットになってしまっている。
公営企業である水道事業であっても、時代環境に合わせた改革が必要な時期が訪れているように、僕には見える。(大庫直樹)