1984年のマッキントッシュ誕生に伴うマウス実用化以来、コンピュータの入力方法はさまざまに発達してきた。最初のパソコンは、キーボードでコマンドを入力できる人しか操作できなかったが、マウスやトラックパッド、タッチパネルなど新しい入力技術が実用化されるたびに利用者が広がっている。
最近は、さらに新しい入力方法が実用化されはじめている。それが「視線入力」だ。ウェブカメラでユーザーの視線を認識し、眼球の動きだけでコンピュータの操作を可能にする「視線認識技術」というしくみである。
視線を3秒止めるとクリックされる
視線認識という先進技術を消費者向けに使っているのは、フォルクスワーゲン社のピックアップトラック「Amarock(アマロック)」をPRするキャンペーンサイト「Extreme Best Drive」である。
アマロックは、コンディションのよくない道路での走りを得意としており、サイトではさまざまな悪環境での走りをCGで再現している。
四隅にあるボタンを選ぶと、アマロックが走るベルトコンベアーが即座に「Tarmac(アスファルト)」や「Stone(岩場)」「Sand(砂)」「Mud(泥)」に変わる。泥道ではオフロードABSが作動したり、アスファルトなら最大49度の傾斜でも走行できるなど、相当にタフなクルマであることが分かる。
この四隅のボタンはマウスのほか、「視線」でも操作することができる。ウェブカメラを準備して視線を動かすと、視線に合わせてマウスカーソルが移動する。操作したい個所で3秒ほど視線を止めると、クリックと同じ動作となる。
筆者が試したときは、視線とは異なる部分にカーソルが移動するなど誤作動もあった。ウェブカメラの品質や視線の動かし方、筆者の目の細さにも原因があったかもしれないが、新鮮な体験であることは確かだ。