臨床心理士・尾崎健一の視点
問題点を具体的に指摘する「現状把握」が大切
人間や人間社会には保守性や慣性といったものがあり、過去に続けてきたやり方を変えることに不安や抵抗といったストレスを感じるものです。新しい管理職が「これまでのやり方を見直すように」と言ったところで、なかなか従えるものではありません。しかし、だからといって「強すぎる現場」がやりやすいように放置していたのでは、会社としての全体最適が図れません。「上司が嫌い」ということも言い訳になりません。
抽象的なねらいや目標を示しただけで、自立的に対応できる人や組織は強いのですが、そうでない場合には、問題点や改善方法をなるべく具体的に指摘しなければ通じません。そのためには、何より「現状」の把握が重要になります。業務マニュアルがある場合にはそれを読み込み、未整備の場合には整備させることを優先しましょう。その上で、現在起こっている不備の聞き取りを行ったり、高い目標の達成を阻んでいるボトルネックを見つけたりします。こういった取組みは、管理職に従わない部下をいつでも配置転換できるようにする前提にもなります。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。