社会保険労務士・野崎大輔の視点
逆パワハラは、まずマネジメント上の問題として考える
厚労省ワーキンググループの報告の中では、同僚や部下からの嫌がらせもパワハラとするとされています。相談の内容は、いわゆる「逆パワハラ」といっていいでしょう。ただし解決方法は、部下が被害者となるパワハラとはアプローチが異なるのではないかと思います。悪質な場合は会社の支援が必要になるものの、管理職には業務において部下を従わせる権限があり、それを適切に行使することで、通常のマネジメント上の問題として解決できる部分が大きいということです。
管理職の指示を聞かない部下は服務規律違反であり、処分の対象となりえます。A課長は部下に対する指示内容を明確にし、何に従わなかったのか、それによってどういう問題があったのかを明確にし、まずは部下を指導すべきでしょう。それでも従わない場合には部長や人事に報告し、懲戒や配置転換を含む毅然とした対処をすべきです。部署の業務を経験したことがなかったとしても、組織の責任と権限を担うのは管理職です。経営管理の視点からは、いくら仕事ができても「勘違いした部下」は甘やかすべきではないということになります。