女性記者とのバトルに橋下流「メディアのさばき方」を見る

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記者の「青写真」を見抜き自分の土俵におびき出す

   こうなると弁の立つ方が100%勝利するのは当たり前で、あとは毎度の橋下劇場である。

「個別に口元チェックまでやったのは行き過ぎでは?」
「音楽の授業で立ってるだけでは点は貰えない」
「なぜ国歌を歌う必要があるのか」
「組織の一員として当たり前。いやなら公務員辞めて(社歌のない)MBSに就職しろ」

   記者というのは、取材や質問の前に、自分の頭の中で青写真を描き終えている。あとはそこに落ち着くように誘導して回答を引き出すものだ。それを最初の質問の時点で、いや、恐らくは会話が始まる前から見抜いた上で、自分の土俵におびき出して粉砕したというのが今回の実情だろう。

   ひょっとすると、アンチ橋下派というのは、市長のそういう部分を恐れているのかもしれない。

   でも、個人的には、氏は一つの可能性を示しているように思う。我々有権者はこの十数年、政治家がささいなミステイクで失脚する様をいやというほど見せつけられてきた。それで日本が良くなったかというと、むしろあらゆる問題が解決されないまま停滞している。

   そんな中、メディアに対して高い防御力と攻撃力を併せ持つハイブリッド政治家が出現したのは、環境適応の結果だろう。

   人事制度では、減点主義よりも、とりあえずやらせてみる方が、長い目で見れば組織は成長するものだ。政治にも同じことが言えるのではないか。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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