自社の商品を社員に買わせてノルマを達成させる「自爆営業」について、口コミサイトのキャリコネが会社の実名をまじえて紹介している。やり玉に上がっているのは、郵便、保険、旅行の3業界だ。
記事によると、ある郵便局では「対前年○%増し」という販売ノルマが設定されているが、実需や景気動向を反映していないので、達成が非常に困難であるという。にもかかわらず、ノルマ未達成者には反省文を書かせるなどのペナルティがあるため、商品を自分で買い取る「自爆営業」が日常化しているというのだ。
「デパートとか大手の家電店もそうだよね」
「自爆」の内容は、年賀はがきや「かもめ~る」、産地直送食品の提携商品小包の購入など。ノルマは総務などの内勤や非正規社員にも及んでおり、金額が大きすぎて給料で賄いきれず、家族や親戚、友人に頼み込む人もいる。20代前半の男性は、
「郵便局に行って、ラーメンやうどんを買いますか?」
と憤っている。商品が売れないのは現場の社員の責任ではなく、商品の企画、さらにいえば本部が現場に押し付ける「無理なビジネスモデル」が原因と言いたいのだろう。
このほか、大手保険会社の40代の女性社員が、上司から「家族や親戚の契約を取って(ノルマを達成して)こい」と迫られたり、旅行会社のカウンターセールスの女性が「お客が支払わなかったキャンセル料を肩代わりさせられた」という話も紹介されている。
この記事に対し、ネットでは怒りの声が…と思いきや、「知ってた」「よくある話だろ」「こんなの当たり前」「何をいまさら」といった冷ややかな反応も少なくない。自爆営業が行われている他の業界の名前をあげる声も相次いだ。
「デパートとか大手の家電店もそうだよね」
「コンビニやファストフード、宅配、農協でもある」
「スーパーは夏にはうなぎ、クリスマスにはケーキのノルマがありますし、書店ですら雑誌買わされますし」
「自己負担した分は『その企業で働く権利』を買っている」
年賀状の「自爆営業」は、これまでもテレビや雑誌で数多く取り上げられてきた。2012年1月にはJ-CASTニュースの取材に対し、郵便事業会社の広報室が、
「直接的なペナルティを課すノルマはなく、あくまで販売上の目標です。それも、達成しないと不利益を被ることがないようにやっています」
という回答を寄せている。ということは、ツイッターの
「私バイトだったけど、年賀状のノルマ1000枚だった。バイトにノルマを課さないは嘘ばっかり。社員の自爆は日常茶飯事」
という書き込みが仮に本当のことであったとしても、会社としては「社員が自主的に行ったことであり、強制まではしていない」というスタンスを貫くつもりなのだろう。
なぜここまでして、会社の目標達成のために「自爆」を強いられなければならないのか。その意味をツイッターで「指南」する人がいた。
「自己負担した分は『その企業で働く権利』を買っていると思えばいい」
クビになりたくなければ、自爆するしかない。自爆したくなければ、辞めるしかないということだ。2012年卒の新卒採用をストップするまで、日本郵政は就職人気の上位だった。中の人はいまごろ「こんなはずじゃなかった」と思っているだろうか。