「相手を選ぶ」権利のある人は「世間話」を重視している

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相手を見極める余裕のある人に合わせるしかない

「ちなみに最近はイチゴ狩りに凝っていて静岡によく行きます。静岡と言えば鰻。ついでにおいしい鰻屋を見つけたので必ず立ち寄ります。その店の名前を教えましょうか?」

   自分の話を滔々としゃべりすぎる人は嫌われますが、目の前の人を見て、興味を引くような話を展開できる人は、Sさんにとって「仕事でも付き合いやすい相手」に映るといっていました。

   「なんでここまでやらなくちゃならないの?」と思う人もいるかもしれませんが、重要なのはDさんもSさんも「相手を選べる立場」にあるということです。つまり彼らに対面する人たちは、好むと好まざるにかかわらず「選ばれている」「見極められている」のです。

「それなら世間話じゃなくて、本題で勝負したい」

と思うのも分かります。私も多忙な営業マン時代、同じように考えたことが多くありました。どう考えても、世間話が「無駄話」にしか思えなかったのです。いきなり「早速ですが、プロジェクトの進捗状況を確認します」で何が悪いのか。

   しかし「相手を選ぶ」余裕のある人が、DさんやSさんのような視点で、世間話の方を判断材料に加えている限り、選ばれる側が慌ててもしようがありません。立場を自分から相手に置き換えて、世間話を巧みに操る能力について考えてみる意味はあるのではないでしょうか。(高城幸司)

*日経プレミアシリーズから『仕事の9割は世間話』が出ました。ぜひご一読いただければと思います。
高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
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