中途半端な「インターンシップ」でも採用担当者が重視している理由

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   求人広告のアイデムの調査によると、就職活動における「インターンシップ」について、採用担当者と学生との間に大きな意識の違いがあることがわかった。

   就職活動を実施した大学生(2012年卒)218人に対し、効果的だった準備活動を尋ねると、「大学キャリアセンターの活用」(27.5%)や「公的機関・民間が開催する就職セミナー」(26.6%)が上位で、「インターンシップへの参加」は12.8%と低かった。

   一方、一部上場企業の新卒採用担当者210人に、学生が就職活動を準備するにあたって効果的と思われる活動を尋ねると、「インターンシップへの参加」という回答が63.7%を占め、「公的機関・民間が開催する就職セミナー」(34.7%)などを大きく引き離している。

短期間でも「業界」や「仕事」に触れさせたい企業

学生は現状のインターンシップに不満がある
学生は現状のインターンシップに不満がある

   そもそも日本のインターンシップは、日本経団連の「倫理憲章」によって、あくまでも「就業体験の機会」を提供するものであり「採用選考活動」とは一切関係ないことを明確にして行うことが求められている。

   いわゆる「青田刈り」「解禁日破り」を防ぐためだが、これによりインターンシップの実施企業は2011年に半減し、結果として企業と学生との接点は少なくなってしまった。

   現在行われているインターンシップは、期間が5日から2週間程度。長期休暇を利用して数か月にわたって行われる海外のインターンシップとは、だいぶ様子が異なる。

   内容も「お手伝い」程度にとどまり、参加者からは「仕事のイメージすら具体的に持てなかった」という不満の声もある。「就業体験」という縛りが企業を及び腰にさせているところはないのだろうか。

   このような中途半端ともいえるインターンシップだが、企業の採用担当者は「貴重な機会」と考えているようだ。調査元のアイデムによると、回答した企業にはこのような問題意識があるという。

「学生の中には多数の会社にエントリーするせいか、十分な事前準備なしに採用選考に臨む人が少なくありません。一方で採用担当者は、入社後の『こんなはずじゃなかった』というミスマッチを減らすために、短期間であっても『業界』や『自社』『仕事』について触れてもらえる機会をつくり、その上で自社を希望して選考に進んでもらいたいと考えているわけです」

期間を長くすればいいというものでもない

   まだまだ不十分ではあるものの、インターンシップに参加した人と参加しない人では、やはり違いがあるので、企業としては自社を少しでも知ってくれた人に、自分から選考に進んでもらいたいと考えているようだ。

   ただし、現状ではインターンシップの受け入れ企業は限られている。大手企業でも募集人数は数人から10人程度だ。本格的なインターンシップを実施するためには、企業側でも企画や運営に人を割く必要があり、負担を抱えきれない面もある。

   また、最近では優秀な人材集めに熱心なIT企業が、期間を長めにとったインターンシップを実施しているが、単に長期にするだけでは「カネのないベンチャーが元気な学生をタダ同然で働かせる」ケースだけが増えることにもなりかねない。

   東大の秋入学などによって、新卒一括採用も多様化すると予想される。企業は人材に即戦力を求めており、「まっさらな状態で行って企業の色に染まればいい」ではやっていけないだろう。そろそろ、学生も企業も満足できるインターンシップのあり方を考える時期に来ているのかもしれない。

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