山もりのお菓子をくれた母のような人たち
それでもコールセンターで働きつつ主婦業を行うのは、並大抵の苦労ではないはずです。そんなお母さんの背中を見て育つから、娘さんも進んでお母さんと一緒に働こうと思うのかもしれません。
私が全然督促ができなくて、何度も会社を辞めようと思っていたころ、仕事を続けようと思いとどまらせてくれたのも、実は彼女たちオペレーターさんがいてくれたおかげでした。
お客さまに怒鳴られて休憩室で落ち込んでいると、まったく面識のない数人のオペレーターさんが近寄ってきて、私の前にお菓子を山もりで置いていってくれました。
「N本さんって、なんだか娘みたいでほっとけないのよねー」
「元気だしてね~」
そう言ってもらったお菓子を、私は涙ぐみながら食べました。
今でも、自分の母くらいのオペレーターさんが電話で怒鳴られているのを見ると、本当に胸が痛みます。
その光景を見るたびに、彼女たちが少しでも怒鳴られる事が減るように、ほんのちょっとでもいいから「督促」「債権回収」という仕事と、それをどんな人がしているのかということを、世の中に知ってもらいたいと思うのです。(N本=えぬもと)