会社の宣言「社員の寿命を2年延ばす」――グーグル日本法人に行ってみた(後編)

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   いよいよお待ちかねのカフェテリアへ案内してもらうことに。朝・昼・晩と開かれている無料の社員食堂として注目を集めていたが、さてどんなところなのか。

   正面にはバーのようなカウンターがあり、さらに奥へ進むと食事を選ぶ人の姿が見えてきた。午後1時を過ぎて人手は少し落ち着いていたが、それでも多くの人たちで賑わっている。日本人と外国人が親しげに話している。若い女性の姿も多い。

目の前で新鮮なサーモンを切り分けてくれた

窓からは都心が一望。和風の座敷席もある
窓からは都心が一望。和風の座敷席もある

   サラダバーには10種類以上の野菜、肉・魚・野菜のメインのおかずは4種類、丼ものや麺のコーナーもある。すべて8週間でローテーションする日替わりメニューだ。社員の9割以上が毎日利用しているというが、納得する話だ。

   健康志向の強いカリフォルニアの会社だからか、ベジタリアンが珍しくないそうだ。そのため野菜のメニューが豊富だし、スープも肉を使わないものを用意するなど、こまやかな配慮がなされている。

   プロの料理人が鮮やかな技を披露する「アクションステーション」というコーナーもあった。この日は分厚いサーモンを目の前で切り分けてくれた。デザートコーナーにはベイクドチーズケーキやみたらし団子、果物などが並んでいる。

   サラダバーから色鮮やかな野菜を取り、チーズも数種類いただいた。アボガドとエビのマヨネーズ和え、肉汁たっぷりのローストチキン、口の中でとろけるサーモンなど、どれも素材の味が生きている。野菜スープとひじきごはんは、優しい味がした。

   社内で食事ができる場所は、ここだけではない。各フロアには「ミニキッチン」があり、軽い食事ができる。壁が真っ赤なキッチンには、冷蔵庫や電子レンジ、コーヒーメーカーや湯沸かし器があり、大きな家庭の台所のようだ。

   朝ごはん用のシリアルやおやつ置き場もあって、すべて無料で食べられる。値段の代わりにカロリーのシールが貼ってある。甘い洋菓子よりも、昆布やようかん、せんべい、甘栗などの和風のお菓子が目につく。広報の宮家さんによると、

「『社員の寿命を2年延ばす』というスローガンを掲げ、食べ物の選び方に気を使っています」

ということだった。なんて幸せな社員さんたちなんだろう…。

「人間の可能性を引き出すオフィス」を見た

カフェテリア(上)とミニキッチン。社員も多様だ
カフェテリア(上)とミニキッチン。社員も多様だ

   同じようなキッチンは、社内にいくつか置かれていて、他部署の人たちの出会いの場所にもなっている。雑談をしながら息抜きをする中で、異なる強みを持った人たちの出会いによって新しいアイデアが生まれることもある。

   グーグルはお金の面でも従業員数の面でも、すでにグローバルな大企業になっている。しかし、いつも大切にしているのが「ベンチャー精神」だ。

   上司からの指示で進行する仕事もあるが、言われたことを決まったようにするだけでは評価されない。各担当が「こういうことをしたい」「こうすべきだと思う」と自ら提案して進む仕事の方が、割合としてはずっと高いのだそうだ。そんな会社は、他にないだろう。

   個々の社員の能力を信じ、会社がそれを押さえつけるのではなく、環境面でもマネジメント面でも大きな力で支援する。「うらやましい職場環境」も、単に儲かっている会社が遊びでやっているわけではないのだ。

   従業員を徹底して大切にし、人間の可能性を引き出すオフィス――。そういう会社だから、グーグルは次から次へと新しいことを生み出していくのかと、あらためて感心してしまった。(池田園子

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