会社の「飲みニケーション支援」に社員が乗ってくれない

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臨床心理士・尾崎健一の視点
飲食をしながら「私的な話」をする意味はある

   会社が「飲みニケーション」を支援する目的は、仕事の生産性を上げるために他なりません。上司部下や同僚同士、あるいは部署横断的なコミュニケーションを良好にすることで、仕事の生産性を向上させるねらいがあるわけです。とはいえ、お酒を飲みながらもっぱら仕事の話をすることに抵抗感を抱く考えも理解できます。思い切って「飲み会は飲み会、仕事は仕事」として、就業時間中に仕事のミーティングを終わらせてから、その後に打ち上げをするという切り分けをしてはいかがでしょう。

   終業後に会社の人たちと私的な話をすることに疑問があるかもしれませんが、心理学的には意味があるといえます。部下の上司に対する信頼感は、上司の「仕事の能力」「誠実な態度」「部下の幸せに対する思い」の3点によって高まるという研究があります。前の2つは主に仕事で示せますが、3つめは仕事だけでは伝わりにくいものです。直面する業務だけでなく、部下の価値観や本当にしたいことなどを聞きだすことで、本人に最適な仕事やキャリアパスを考えることができます。そういう話は、飲食をしながらリラックスして話すのもよいのではないでしょうか。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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