臨床心理士・尾崎健一の視点
飲食をしながら「私的な話」をする意味はある
会社が「飲みニケーション」を支援する目的は、仕事の生産性を上げるために他なりません。上司部下や同僚同士、あるいは部署横断的なコミュニケーションを良好にすることで、仕事の生産性を向上させるねらいがあるわけです。とはいえ、お酒を飲みながらもっぱら仕事の話をすることに抵抗感を抱く考えも理解できます。思い切って「飲み会は飲み会、仕事は仕事」として、就業時間中に仕事のミーティングを終わらせてから、その後に打ち上げをするという切り分けをしてはいかがでしょう。
終業後に会社の人たちと私的な話をすることに疑問があるかもしれませんが、心理学的には意味があるといえます。部下の上司に対する信頼感は、上司の「仕事の能力」「誠実な態度」「部下の幸せに対する思い」の3点によって高まるという研究があります。前の2つは主に仕事で示せますが、3つめは仕事だけでは伝わりにくいものです。直面する業務だけでなく、部下の価値観や本当にしたいことなどを聞きだすことで、本人に最適な仕事やキャリアパスを考えることができます。そういう話は、飲食をしながらリラックスして話すのもよいのではないでしょうか。