究極のプレゼン師は、昭和のアノ人だった!――勝ち残るリアル営業(6)

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その一枚でストーリーが読めてはいけない

   彼は決して話術が巧みなわけではない、朴訥としたまじめなタイプなのに、なぜか引き寄せられたプレゼンテーション。これは一体何なのだろうか。考えに考えた挙句に、子どもの頃に出会った「達人」を思い出しました。

   それは小学校の帰り道、毎日公園に来ていた紙芝居屋のおじさんです。飴を買うと前の方で見られる静止画劇場。私はこの紙芝居に魅せられ、毎日通っては、なけなしの小遣いから飴を買い、前の方に陣取って「開演」を待ったものです。

   ご覧になったことのある人はお分かりでしょうが、紙芝居は一枚一枚めくられた絵を見ただけでは、どういうストーリー展開になるのか分からない仕掛けになっています。そして、話し手である紙芝居屋さんのおじさんとの双方向のやり取り、

「さぁ、ここで主人公はどうなったかな?そこの赤いシャツのボク!」
「ドアを開けたらものすごい音がぁ~!ってどんな音だと思う?お嬢ちゃん」

といった対話こそ、聞き手に決して楽をさせない演出だったのです。

   リアル営業におけるプレゼンの極意として紙芝居から学ぶことは、まず資料づくりです。見た目に関心を引きながらも全容が分かってしまってはいけないということ。

   資料を見ただけではこれからどんな話が聞けるのか分からないことで、相手をプレゼンに集中させ、より期待感を煽ることでそこに引き込むことができるわけです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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