マクドナルドでアルバイトをすると、給料を前借りできる――。ネット上には以前からそんな噂が流れていた。「自分は借りたことがある」「たぶん今はもうできない」といった書き込みも見られる。
日本マクドナルドのウェブサイトを見ると、「アルバイト情報」の中に「前給制度」の説明が載っていた。店舗で働くアルバイト(クルー)が給料日前に、給料の一部を受け取れるのは本当のようだ。
その月に働いた分の最大50%を給料日前に受け取れる
マクドナルドのクルーの給料は、毎月15日に支払われるのが原則だ。しかし例外として、7営業日以上働いた人であれば、その月に働いた分の最大50%までのお金を月末までに受け取れる制度がある。
事前の登録が必要だが、マネージャーの許可は不要だ。ケータイやパソコンから申し込むことができ、最速で翌日に給与振込み口座に振り込まれる。
たとえば、4月19日から28日までの10日間、1日2時間・時給800円で働いたとすると、この期間の給料は単純計算で1万6000円(社会保険未加入の場合)。月末までに8000円を前借りできることになる。
この制度の説明には、母親の誕生日にハンドバッグを贈りたい娘さんのエピソードが添えられている。8000円あれば、プレゼント予算の補充には十分だろう。そんな親孝行な女性なら、店舗でも一生懸命働いてくれるに違いない。
サイトでは、利用経験のある主婦が「申込んでから入金まで早くてビックリしました」、女子大生も「お店のみんなにもすすめてみようと思います」と答えている。会社として利用を制限しようという姿勢はないようだ。
実はサラリーマンも「前借り」できる場合がある
なお、給料の前借りは、ある条件を満たせば、法律上はあらゆるアルバイト、会社員なども可能である。
労働基準法25条は、労働者から「非常の場合の費用」として請求されたとき、会社は給料日前でも給料を支払わなければならないとしている。
ただし「非常の場合」とは、従業員やその家族が出産や病気、災害、結婚や死亡した場合と、やむを得ない事由で1週間以上帰郷した場合に限られている。
また、マクドナルドの「前給制度」と同じように、前借りといっても「既往の労働」(すでに働いた分)の給料に限られる。「出世払いしますから、3か月分貸してください!」といった請求に応じる義務は会社にはない。