社会保険労務士・野崎大輔の視点
次に言ったら「書面にしてくれないか」と返す
職務怠慢を上司が再三注意したのにもかかわらず、部下が反省の姿勢を示さずに改善の様子を見せない場合、会社は部下を懲戒処分とすることができます。ただし、職務怠慢を指摘するからには、きちんとした根拠が必要です。部下への要求を目標数値に落とし込み、それが達成できない場合に、明らかに職務怠慢が原因と指摘しなければなりません。漠然と「新規提案もやってくれよ」と言う程度では弱い気がします。
なお、退職の意思表明は口頭でも成立しますので、使用者の承諾があれば合意による退職が成立します。ただし、労働者の意思表明が真意に基づく明確なものであることの確認が必要です。後になって「あれは本意ではなかった」などと言われると面倒な展開になりかねないので、実務的には書面による確認(退職届)が必要です。次に「辞める」と言い出したら、「君の気持ちはよく分かった。ではそれを書面にしてくれないか」とその場で書かせてもいいかもしれません。このとき「辞めると言っただろ!早く書けよ!」と脅すと退職強要になるので要注意です。もし書かない場合、「辞めないのなら指示に従いなさい。従わなければ処分する」と毅然と言っていいでしょう。