先日、某ラジオに出演した際、なかなか興味深いやり取りがあったので紹介したい(勝手に引用&記憶ベースで筆起こししているので名前は伏せておく)。
テーマは若年層の雇用で、就職難にもかかわらず新卒で就職後に3割以上の人間が離職する点が話題となった。
「どうして苦労して入った会社を辞めるんでしょう?」
「とどまる理由がなくなったから。長くいても昇給や出世が限定的だと気付けば、長く勤める理由はありませんね」
若い世代が長くとどまるメリットは薄れつつある
労働者側から見れば、終身雇用というのは慣習であって「60歳まで働き続けます」という契約ではない。企業は勝手にクビにはできないが、従業員は入社当日に辞めたって構わない。
にもかかわらず、従来、多くの労働者が転職せずに働き続けたのは、単純にそれがトクだったから。勤続年数に応じて定期昇給やベースアップで、将来に賃上げされることが確実だったからだ。
ただ、90年代後半以降、そのモデルは崩れ、長くとどまるメリットは特に若い世代において年々薄れつつある。これが「若者が3年で辞める理由」であり、内閣府の言葉を借りるなら「昇給が見込めない以上、自発的によりよい職を探しはじめた」ということになる。
「でも、就職氷河期などと言われている中、せっかく入った会社を辞める必要があるんでしょうか?」
「アナウンサーでも実力のある人はよく独立しますよね。それと同じですよ」
以前も書いたように、不況にもかかわらずではなく不況だからこそ、アナウンサーは続々と独立している。ただし、それを認めれば、残っちゃってる自分はどうなの?という話になる。「すっぱいブドウ」を求めて、さらなる突っ込みが続く。
「20代で離職して、うまくいくものなんでしょうか」
「うまくいく人もいかない人もいるでしょうが、そもそも人生なんてそういうものでしょう」