無料のWi-Fiスポットに注意 悪意ある提供者もいる

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   アンドロイドのスマートフォンに向けたウイルスが急増している、との報道を見て、まるで有効活用されていない自慢のiPhone4Sだけれども、ちゃんと対処しとかなきゃ、と思い立ちました。

   とりあえず、放ったらかしにしていたOSの更新をしようとしたのですが、「重いから3G回線では無理!」と表示されたのです。

   ところが、Wi-Fiの設定をしていません。いや、しようと思ったのですが、IT・ネット回りでありがちな、要は何をどうしたら良いのか非常にわかりにくい説明に辟易して、これまた放っておいたのです。

「えっ? 仕事ではエラそーに言ってるクセに、そんなこともできないの?」

   たまたま一緒にいた友人Aに、力の限り罵倒されました。いやいや、真剣にやろうとすればできるに決まってるのだが、やっぱりスマートフォンに愛着がないから分かろうとしない、後回しにする、そして忘却する、というスパイラルに入っているだけだい。

緊急で使いたい人には便利だけど

「まさか、そんな子どもじみた言い訳を聞くとはね。じゃ、こういうの知ってる?」

   Aが真新しいXperiaでチャチャっと検索して見せてきたのが、「公衆無線LANマップ」というサイト。いまいる市区町村や駅または路線のなかから場所を指定すると、マップ上に最寄りの無線LANスポットを表示してくれるという便利なものです。

   プロバイダも有料、無料をそれぞれ選べるので、緊急に必要な人や、筆者のようにまだ加入手続きを終えてない人でも非常に助かります。

   さっそくAとともに、近くの無料スポットへと向かいました。ある外食チェーンです。店の前に差しかかった時、何気なく自慢のiPhone4Sを見ました。すると、なんと、待機していたはずのダウンロードが始まっちゃってるじゃないですか。

「うわ、ナチュラルに悪気なくフリーライド(タダ乗り)しちゃった。まあ、もともと無料スポットではあるんだけど」

   そう言って、コーヒーを飲みたがるAを引き止め、店の前でいかにもスマートフォンを操作しているフリをして数分間。無事にダウンロードが終了しました。

   あらためて、元の目的地へAと移動します。そこで、あることを思い出しました。先日、セキュリティ会社さんから送られてきた最新版のレポートに載っていたことです。

「あのなあ、無料スポットのなかには、無料ってことでユーザーを誘い込んで、LAN使わせてる間にウイルスを送り込むとか、スマホのなかの情報を覗き見るとか、そんなことをやるところがあるんだぞ。ヤバかったじゃねーか、キワッキワで偶然大丈夫だったってだけで」

なるべく使わないのも自衛策のひとつ

   すると、Aは済ました顔で答えます。

「いいじゃん、別に。あそこはちゃんとしたところだったろ? ちゃんとした無料LANにタダ乗りできて良かったじゃん。だいいち、そういうことをみんなに知らせるのがお前の仕事なんでしょ? だったら、怪しい業者名とかも知ってるし、それだったら使わなかったでしょ? なーんも問題ないじゃん」

   うぐっ、そりゃ、いまは問題なくて良かったっスよ。でも、怪しい業者の名称を全部覚えてるわけでもないし…。

「だったら、そういうこともあるから気をつけて使ってくださいね、ってどっかで書けばいいじゃん。やっぱ、問題なし」

   ということで、みなさまにお知らせいたします。

   無料のWi-Fiスポットのなかには、悪意を持った悪質なものも存在します。出自のよくわからない無料サービスはできる限り使わないよう、使わざるを得ない場合でも事前にセキュリティ会社のホームページなどで悪い事業者名を確認するなど自衛策をとったうえで、十分に気をつけてお使いください。(井上トシユキ)

井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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