社会保険労務士・野崎大輔の視点
結婚して家庭を持てる給与水準にすることも大事
ワークライフバランスを進める上での一番の課題は、残業時間の削減でしょう。余計な残業代を縮小する効果もあります。とはいえ、労働時間管理を厳密にするだけでなく、ひとり当たりの仕事量を減らさないことにはどうにもなりません。人を増やすか、もしくは仕事を減らす必要がありますが、いずれにしても高度な経営判断が必要であり、社長の決断とリーダーシップが求められます。特に仕事を減らす場合には、事業や業務の「選択と集中」を行わざるを得ません。そこまでやれば、幹部たちも納得するのではないでしょうか。なお、サービス残業を放置するリスクは非常に高いです。厚労省は企業からの内部告発を受け付けていますし、社員が過重労働によって精神疾患になる可能性もあります。過労死になった場合は遺族から訴えられるリスクもあります。
また、共働き前提でもいいから、結婚して家庭を持てる程度の給与水準にすることも、ワークライフバランスにおいて非常に重要だと思います。ハードワークで疲弊した心身を整え、再び闘えるようにするには、ベースとなる家庭を営めるようにすることが、実は最も重要ではないでしょうか。
(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。