「うっわ、男の人ばっかり…」
私が初めてコールセンターに配属された日、扉を開けたその先で見たものは、一面の白い机と灰色の電話機。そして、机の前でひたすら電話をかけ続けている、黒やグレーのスーツを着た強面の男性集団でした。
この年に入社した私と、あともう一人の女子社員が、新卒採用で督促の部署に配属された初めての女子社員だったのです。
いまでは新人の半数以上が女子社員だけど
督促は長年、男性社員の業務でした。社内でも、
「女が言っても債務者は支払いをしない」
「男が少し強めの口調で言わなければ入金されない」
という認識がずっとありました。
コールセンターといえば、女性が多い職場のイメージがありますが、私が働くキャッシングの督促の部署には、女性の社員はほとんどいませんでした。
じゃあなぜ、私の代から女性が配属され始めたのかというと、2006年のふたつの出来事が背景にあります。4月に業務停止命令を下された大手消費者金融の「違法な督促行為」と、12月の貸金業法の改正(10年6月施行)です。
改正貸金業法の21条1項(取立て行為の規制)により、督促行為を行う際は、「人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」と厳しく規制されるようになりました。
つまり、お客さまが嫌な思いをするような督促をしたら、行政処分を受けることになるのです。これを受けて「このままじゃまずい!」と思った金融業界は、
「女性ならお客さまを怒鳴りつけるような督促はしないだろう」
と判断し、積極的に女子社員を督促業務を行う部署へ送り込むことにしたのでした。
今年もちょうど新入社員が入って来る季節ですが、このたび督促部署へ配属された社員のうち、なんと半数以上が女性でした。時代は変わったなぁと、しみじみ思います。