学生団体は「新卒一括採用の廃止」を要求すべきか

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ポテンシャルと大学名だけで評価される時代は終わり

   ここで2つの疑問を持つ学生がいるはずだ。まず「そんなに厳しくなるのなら、新卒一括採用を維持した方がいいじゃないか」という人。しかし新卒一括採用というのは、終身雇用のオマケであって、終身雇用が維持できなくなった以上、もはやその崩壊は誰にもとめられない。

   また、「学生が就活デモ等で新卒一括採用の廃止を要求するのは、死刑執行を速める自殺行為では?」と思う人もいるだろう。確かに、新卒カードを廃止すれば、不利になるのは学生の方だ。ただ、それは社会人の側が「どこの会社に行っても通用するポータブルなスキル」を持っていることが大前提であり、筆者の見るところ、そんなサラリーマンは極少数である。

   10年先か20年先かは分からないが、日本中の企業に職務給が普及し、退職金優遇税制も廃止され、スキルも社会保障制度もポータブル化するまでは、相対的に伸びしろがあり賃金の安い学生が有利という状況が続くだろう。というわけで、学生団体は新卒一括採用の廃止をどんどん要求するといい。

   ただ一つ確実なのは、ポテンシャルと大学名だけで評価される時代は終わりつつあるということだ。そのための準備だけは、世代を問わずに行っておくべきだろう。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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