東京・渋谷のGMOインターネットグループに「シナジーカフェ GMO Yours」がオープンして10か月。今でも視察に訪れる企業が跡を絶たない。24時間オープン、食事や飲み物はすべて無料で社員の交流を促す「コミュニケーションスペース」だ。
青とオレンジの配色がなされた約100坪(330平米)の食堂には、ランチが始まる正午になると20人ほどの社員が並び、150席の座席が埋まっていく。「世界一のサービスを提供するために、世界一の人財が集まる場をつくる」をコンセプトに作られたスペースを訪問してきた。
ランチは10種類のビュッフェとドリンク、デザートつき
ランチは和食、洋食、カレーなど、毎日異なるビュッフェ形式。バランスの取れた食事をしてほしいと、毎日必ず主菜3品、副菜2品、サラダが用意される。600kcalに抑えられる「アンチエイジングメニュー」も人気だ。すべてのメニューは栄養士が監修している。
お楽しみのメニュー選びは、アンチエイジングメニューと迷いつつ、鶏ひき肉のそぼろあんに惹かれて全10種のビュッフェをいただくことにした。いわしのゴマ焼きは、甘辛い味付けでごはんが進む。豚肉の西京焼きは、口の中で柔らかくとろけた。
ごはんは白米と十六穀米から選べるのも、美容を気遣う女性には嬉しい。デザートの抹茶パウンドケーキを食べると、かなり満腹になった。お酢を使ったドリンクも飲みやすく、キレイになれそうな気分だ。
ビュッフェの料理が売り切れた後は、数種類のパンが提供される。1日に3回運ばれる隣接するホテル監修の焼きたてパンをはじめ、サンドイッチやデリブレッドなど軽食がいつでも食べられる。これも本格的な味でおいしくいただいた。
カフェが閉まる20時以降は、ファミリーマートの商品が置かれた自動販売機が稼働。時差のある海外との対応、深夜対応をする社員への配慮も行き届いている。
毎週金曜の夜は、このスペースがバーに変身する。お酒や食事が無料で、毎週数百人の社員でにぎわう。社内のコミュニケーションの活性化がねらいだ。GMOインターネットグループと同じ理念を持つ社外の人向けに、勉強会などを行う場として無償で貸し出しも行っている。
プロのマッサージが受けられるコーナーも
新しく「コミュニケーションスペース」を作る際に、熊谷社長は「使われない福利厚生施設は最大のムダ」といい、社員の要望をできるだけ反映するように指示した。使う社員が立ち上げから関わるのがベストという考えから、社内公募で8人のプロジェクトメンバーが集まった。最終的に、195個の要望の95%をクリアしたという。
福利厚生は、ここだけにとどまらない。託児所の「キッズルームGMOBears」が2011年8月にオープン。月次保育のほか、一時保育や1日保育にも柔軟に対応する。現在は1日平均10名程度に対しベテラン保育士が7人つく強力なサポート体制で、親も安心して働ける。
お昼寝スペース「GMO Bali Relax」では、最長30分まで昼寝ができる。予約は社内のイントラネットで行い、空き状況も同時に確認できる。3つのリラックスチェアはいつも予約でいっぱいだそうだ。
10分500円でプロのマッサージが受けられるコーナーもあり、筆者も試させてもらうことに。凝り固まっている部分を中心に、身体全体を揉みほぐしてもらった。うーん…、これは毎日でも通いたいくらいだ。
人材確保はIT業界の抱える大きな悩みだが、これを解消すべく多くの会社が福利厚生の拡充に目を向けつつある。最高の環境に身を置くからこそ、「働きマン」たちの会社への帰属意識もわき、仕事にも精が出て最高のパフォーマンスを発揮できる。増収増益企業だからできるのか、それともこの環境だから業績好調なのだろうか。(池田園子)